こんな対処方法があります
[1]専門医の診察を受ける
うつ病や適応障害などの精神疾患が疑われる状態であれば、すぐに専門医(精神科医、心療内科医など)にパワーハラスメントやセクシャルハラスメントの状況を説明して診断を受けましょう。もし、休養を勧められたら診断書を書いてもらって会社に提出し、会社の「私傷病による休暇・休職制度」を利用して休むようにします。暴行を受けた場合には、医師の診断を受けた上で、警察署に相談しましょう。
[2]会社に「私傷病による休暇・休職制度」があるかを確認する
会社により「私傷病による休暇・休職制度」の期間はさまざまです。いつまで休めるのか、給料は出るのかの確認をすることが必要です。もし、被害者本人が確認することが困難な場合には家族や友人や同僚に確認してもらってもよいでしょう。
[3]健康保険の傷病手当金の受給を申請する
労務不能の状態で、療養のため4 日以上休業し(そのうちの3日は連続していること。土日などの公休日でも年次有給休暇でも可。)、給料が支払われていないのであれば、健康保険の傷病手当金を1 日につき「支給開始日以前の12 か月間の標準報酬月額を平均した額の30 分の1に相当する額」の3 分の2 の額を支給開始から1 年6か月まで受給できるので、会社の健康保険担当者に申請します。
[4]パワーハラスメントやセクシャルハラスメントの証拠を確保する
パワーハラスメントやセクシャルハラスメントのことを思い出しても大丈夫であるならば、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントの状況、いつ、誰が(加害者)、どのように(内容)、なぜ行われたのを記録してみましょう。その他、会社や上司の対応についても詳細に記録してみましょう。その場に居合わせた人も記録しておきます。休む前に、録音(ICレコーダーや携帯電話の録音機能も可)、ビデオテープ、写真(携帯電話の写真機能も可)などに撮っておいた場合には、それを証拠として活用できるように、きちんと保存しておきます。ご自分の体調と相談しながらマイペースに行いましょう。
[5]加害者を監督する立場の管理監督者や人事部門、社内の苦情相談窓口やコンプライアンス部門に相談する
[4]のパワーハラスメントやセクシャルハラスメントの証拠を携えて相談し、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントを行った加害者に対して会社としての改善(加害者の異動など)を求めます。
[6]被害者本人が望む場合には労災申請を行う
労災申請は、被災者である労働者が行えます。主治医に労災保険適用の可能性を確認して可能性があるといわれ、被害者本人も労災認定を望まれるのであれば、労災保険の申請書に医師に記載してもらった上で、④のパワーハラスメントやセクシャルハラスメントの証拠とともに、労基署に労災申請をしてみましょう。会社が協力してくらない場合でも申請できます。
[7]具合がよくなって復職する場合
一般的に精神疾患を患った労働者の復職は、元いた職場の方が負担が少ないと言われていますが、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントの加害者は同じ職場であることが多く、加害者が異動させられていなければ、元いた職場に戻ることは危険です。そうした場合には、別の職場への異動も含めて、自分で納得できる復職の形を会社と相談しましょう。
[8]労働組合や県の労働センターに相談する
以上のことは、具合が悪い状態で、被害者自身が会社と交渉することは、非常に困難なことです。一刻も早く休職・地位の確保を行うために、労働組合があれば労働組合に、または県の労働センターに相談しましょう。場合によっては、退職金や離職票などの退職条件について、会社と話し合うことになる可能性もあります。
詳細は こちら(かながわ労働センターの労働相談)