プチ湯治!かながわの温泉で元気になろう!~健康になる入浴活用術~
(公財)かながわ健康財団 伴野 裕生(健康運動指導士・温泉利用指導者)
週末や休日などを利用して日帰りや1泊2日の「プチ湯治」を楽しむ方が増えています。
本来の療養的な長期滞在を目的とする「湯治」に対し、「プチ湯治」は、生活習慣病の改善やストレス解消、疲労回復を目的に、忙しい現代人が手軽に短期間、温泉地に滞在して、心身ともに健やかな状態にするものです。そして、何といっても神奈川は、全国でも有数の温泉県です。時間をかけずに温泉とふれあうことができます。皆さんも、かながわの温泉で元気になりましょう。
なぜ温泉は体にいいの
温泉が体にいい理由は、大きく3つあります。
- 体を温める温熱作用のほか水圧・浮力など、私たちの体に物理的に働く効果
- 温泉の成分が皮膚などを通して体内に吸収され、体の機能が健康になる化学的効果
- 体内に吸収された温泉成分の刺激や、反復して温泉に入浴することによって、神経系統の調整や内分泌機能、免疫機能を調節する変調効果
これらの効果によって、自然治癒力で体の機能を正常に導く作用があるといわれています。
この他に温泉地に行くことでこんな効果があります
転地や気候による環境効果
日常生活のストレスからの解放や、温泉地の自然環境が心や体によい影響を及ぼす作用があります。
食事や運動による効果
生活リズムを改善し、栄養バランスが取れた食事、そして健康状態や年齢に応じた自然散策などの適切な運動が体によい影響を及ぼします。
休養効果
温泉入浴後、休憩場所で体を横にして休んだり、静かな環境で過ごすことは心の安定を取り戻します。
「プチ湯治」の入浴実践方法 10か条
- 入浴前は移動疲れを取るために少し休憩時間をとり、水分等を補給しましょう。
- 食事の直後や飲酒した後は、しばらく時間をあけましょう。
- 脱衣後、浴室ではまず十分に「かけ湯」をして、からだに熱を慣らしましょう。
(かけ湯は、心臓への負担を軽減するため、心臓から遠い「足先」から行い、徐々に上半身へ移りましょう)。- からだに負担をかけない入浴法は、最初は「半身浴」、慣れたら「全身浴」に移りましょう。
- 汗が流れるほどの高温浴(42℃以上)や長く湯に浸かる(10分以上)のはなるべく避けましょう(目安:健康な方、万人向きの泉質の単純温泉等40~42℃位で5分以内)。
利用する温泉の泉温が高い場合は、無理をせずかけ湯を繰り返し、足湯から温度に慣れましょう。
- からだが温まったら休憩を兼ね出浴して、洗髪・洗顔、体を洗いましょう。
- 2度目の入浴は、施設にある露天風呂など適度に休憩を取りながら入浴を繰り返しましょう。
- 浴室から出る際、温泉成分を残したい時は、上がり湯はかけずにタオルで水滴を拭う程度にしましょう。
- 出浴後は、着衣後水分補給をして、保温に努めながら、休憩場所でゆっくりからだを休めましょう。
- まる一日(午前・午後)や宿泊しながら行う場合は、半日1回程度の入浴とし、多くても1日に3回以内にしましょう。
温泉の泉質や泉温により温泉浴は、ジョギングしたのと同じくらいの運動刺激となりますので、心臓等からだに負担が少ない入り方をしましょう。
かながわの温泉で元気になろう
県東部には、横浜・川崎の大都市に、北には丹沢山系、臨海部には湘南・三浦・横須賀、県央には厚木、伊勢原などにも温泉があり、県西部にはなんと言っても全国入湯者数1位を誇る箱根や湯河原の温泉があります。
県内の泉質・適応症別主要温泉地を参考に自分に合った温泉地を探し、自分本来の健康を取り戻しましょう。

かながわの泉質・適応症別主要温泉地
単純温泉
お湯の俗称 | 万人向き「家族の湯」 |
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適応症(浴用) | 温泉共通の「一般適応症」として筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧症、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進 |
県内主要温泉地 | 箱根湯本温泉(箱根)、塔ノ沢温泉(箱根)、木賀温泉(箱根)、姥子温泉(箱根)、小涌谷温泉(箱根)、芦ノ湖温泉(箱根)、宮城野温泉(箱根)、七沢温泉(厚木)、伊勢原温泉(伊勢原)、中川温泉(山北)、小田原温泉(小田原)、別所温泉(清川) |
塩化温泉
お湯の俗称 | 「熱の湯」「温まりの湯」「傷の湯」 |
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適応症(浴用) | 「一般適応症」に加え、きりきず、皮膚乾燥症 |
県内主要温泉地 | 箱根宮ノ下温泉(箱根)、堂ヶ島温泉(箱根)、底倉温泉(箱根)、強羅温泉(箱根)、ニノ平温泉(箱根)、大平台温泉(箱根)、湯河原温泉(湯河原)、三浦温泉(三浦)、鶴巻温泉(秦野)、平塚温泉(平塚)、藤沢温泉(藤沢)、大磯温泉(大磯)、横須賀温泉(横須賀) |
炭酸水素温泉
お湯の俗称 | 「美人の湯」「美肌の湯」「清涼の湯」 |
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適応症(浴用) | 「一般適応症」に加え、きりきず、皮膚乾燥症 |
県内主要温泉地 | 綱島温泉(横浜)、川崎温泉(川崎)、鎌倉温泉(鎌倉) |
硫酸温泉
お湯の俗称 | 「傷の湯」「脳卒中の湯」 |
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適応症(浴用) | 「一般適応症」に加え、きりきず、皮膚乾燥症 |
県内主要温泉地 | 強羅温泉(箱根)、仙石原温泉(箱根)、蛸川温泉(箱根)、湖尻温泉(箱根) |
硫黄泉
お湯の俗称 | 「生活習慣病の湯」「心臓の湯」 |
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適応症(浴用) | 「一般適応症」に加え、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮膚化膿症 |
県内主要温泉地 | 芦之湯温泉(箱根)、湯ノ花沢温泉(箱根)、南足柄温泉(南足柄) |
酸性泉
お湯の俗称 | 「皮膚病の湯」 |
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適応症(浴用) | 「一般適応症」に加え、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症 |
県内主要温泉地 | 大涌谷温泉(箱根) |
神奈川県の「未病いやしの里の駅」にも「湯の駅」があります。ぜひおでかけください。